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レンチキュラーとは?角度で絵が変わるしくみと印刷・自作の方法

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この記事について:公開されている情報をもとにOwl3Dが執筆しました。出典(全20件)は記事の最後に掲載しています。

結論

レンチキュラーとは、かまぼこ型の細長いレンズが並んだシートを使い、見る角度によって絵柄が変わったり、立体に見えたりする印刷物のことです[1]。シートの裏には、複数の画像を細い帯に切って交互に並べた絵が印刷されています。見る角度が変わると、レンズを通して見える帯が切り替わります[2]。「角度で絵が変わるカード」は、レンチキュラーカードと呼ばれます。印刷会社に頼むことも、シートを買って自分で作ることもできます。この記事は、Owl3D Shiftを製造・販売しているOwl3Dが書いています。

黒いガレージの扉に貼られた同じ丸い看板を、2つの角度から撮った写真。一方は青い駐車禁止の標識、もう一方はレッカー車が車を運んでいく絵に見える。

1枚のレンチキュラーの看板を、2つの角度から撮った写真です。前を通り過ぎるうちに絵が切り替わります。写真:Klever、Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0

この記事のポイント

  • 絵が切り替わるもの、動いて見えるもの、立体に見えるものは、どれもレンチキュラーです。詳しくは効果の種類へ。
  • 切り替わる絵は2〜4枚が一般的です。動きを見せるなら10コマ程度が目安です。
  • 縦に傾けるか横に傾けるかは、レンズの向きで決まります。3Dは左右に傾けて見ます。詳しくは傾ける向きへ。
  • 印刷を頼む前に、画像の枚数、CMYK、解像度、文字の大きさ、塗り足しを確認します。詳しくは印刷を頼む前にへ。

「角度で絵が変わるカード」の名前はレンチキュラー

Wikipediaは、レンチキュラーを「見る角度によって絵柄が変化したり、立体感が得られたりする印刷物」と説明しています[1]。カード型のものはレンチキュラーカードと呼ばれ[8]、シール型のもの(レンチキュラーシール)もあります[4]。

印刷会社やグッズの販売ページでは、効果の名前で呼ぶこともあります。絵が切り替わるものは「チェンジング(フリップ)」です[3]。同人誌などを印刷するPrint-onは「チェンジングシール」[4]、くりえい社は「スペシャル3Dポストカード」[5]という名前で扱っています。

マル・ビによると、レンチキュラーの特許は約100年前に出願され、普及したのは1960年頃からです[3]。日本では、1960年に発売されたダッコちゃん人形の目に使われ、角度によってウインクして見えました[1]。

絵が変わる・立体に見えるしくみ

レンチキュラーシートの断面の模式図。表面にかまぼこ型のレンズが並び、裏面に画像1・2・3の細い帯が交互に印刷されている。正面から見ると画像2の帯が、斜めから見ると画像3の帯が見える。
レンズ1本の下に、それぞれの画像の帯が1本ずつ並んでいます。見る角度が変わると、見える帯が変わります。図:Owl3D

レンチキュラーの表面には、小さなかまぼこ型の凸レンズが並んでいます。その裏側には、細かく分けた複数の画像が交互に印刷されています。見る位置を変えると、レンズが拡大して見せる部分が次々に変わります。このため、絵が変わったように見えます[2]。

3Dに見えるものも、しくみは同じです。少しずつ違う視点から見た画像を並べておくと、左右の目にそれぞれ違う絵が映ります。この「両眼視差」によって立体に見えます[2]。両眼視差のしくみは、立体視とはで説明しています。

効果の種類と必要な画像の枚数

効果見え方用意する画像
チェンジング(フリップ)角度を変えると別の絵に切り替わる2〜4枚が一般的[3]
アニメーションコマ送りのように動いて見える10コマ程度が目安[3]。加陽印刷は12枚までを推奨[6]
ズーミング絵がだんだん大きくなったり、小さくなったりする最大と最小のサイズを指定[6]
3Dデプス平面の絵がいくつかの層に分かれ、奥行きが出る層ごとに分けた画像。くりえい社は3〜10枚[5]
リアル3D細かい凹凸まで立体的に見える少しずつ違う視点から見た画像[2][3]

画像を増やすほど、1枚あたりの帯は細くなります。そのぶん高い精度が必要になり、絵の切り替わるタイミングも早くなります[2]。このため、画像は何枚でも入れられるわけではありません。くりえい社は、3Dデプスを初めて頼む人に3〜6枚程度の層を勧めています[5]。

縦に傾けるか、横に傾けるか

傾ける向きは、レンズの向きで決まります。Print-onのチェンジングシールは、レンズの向きが横向きです。このため、縦方向に傾けないと絵柄が変わりません[7]。グラビティのポストカードも、チェンジングは上下に傾けて絵を変えるのが基本です[8]。

3Dは、左右の向きで作ります。清水産業は「3D印刷は左右チェンジが適しています」としています[9]。くりえい社も、左右の目の視差を使うため、画像の天地左右が重要だと説明しています[5]。

レンチキュラー印刷を頼む前に用意するもの

印刷会社のページには、入稿データについて次のような指定があります。会社ごとに数字が違うので、最後は依頼先のテンプレートと説明に合わせてください。

  1. 効果と向きを決めます。 縦長用と横長用でテンプレートが分かれている会社があります[4][5]。
  2. 画像をそろえます。 チェンジングなら同じサイズの画像を2種類用意します[9]。3Dデプスは、層ごとに分けたPSD、AI、TIFFのデータで入稿します[6]。
  3. CMYKで作り、解像度を確認します。 300dpi以上を求める会社[5][9]と、350dpi(以上)を求める会社[4][6][10]があります。
  4. 文字と線を太めにします。 レンズの凹凸で、小さな文字は読みにくくなります。Print-onは7pt以上を推奨しています[4]。加陽印刷は文字6pt以上、罫線0.3pt以上を推奨し、細い縦の線が消えることがあると注意しています[6]。
  5. 塗り足しを広めに取ります。 3Dは画面が左右に大きく動くので、塗り足しが足りないと絵のない部分が見えます[9]。加陽印刷は、3Dの場合、仕上がりサイズに3mmの塗り足しを付けたうえで、背景画像は左右に15mm以上大きく作るよう求めています[6]。

Print-onは、チェンジングをはっきり見せるために、背景を黒や濃い色にすることを勧めています[4]。また、小さなシールは、印刷や断裁で1〜1.5mmずれても目立たないデザインにするよう求めています[7]。

レンズの細かさは、1インチに並ぶレンズの本数「lpi」で表します。近くで見るものほど細かいレンズを使い、3Dを強く出したいときは厚いレンズを使います[2]。薄いレンズは、切り替わりがゆっくりなチェンジング向きです[11]。

注文できる最小の枚数は、会社によって違います。Print-onのチェンジングシールの料金表は10枚から[4]、グラビティのポストカードには「100枚から作れる格安パック」があります[8]。清水産業は、小ロットの場合は紙に印刷してレンズを貼り付けると説明しています[12]。同人・推し活向けのグッズを作るIDWORLDのように、「1個からオリジナル制作OK」とする会社もあります[20]。

自分で撮った3D写真をプリントしてもらった人の報告

価格.comクチコミ掲示板では、3Dカメラの写真をレンチキュラーでプリントしてもらった人たちが結果を書いています[13]。2011年1月に投稿した人は、最初に届いたプリントについて「完全に二重像になってしまっており」と書いていました。注文先に事情を説明すると修正版がすぐに届き、その立体視については「まあまあというレベル」だったそうです。2012年2月に投稿した別の人は、8枚のうち「四枚成功して、四枚残念な出来でした。二枚は背景がぼやぼやで」と報告しています。同じ人は「やはり大きな画面に映してから、確認して発注した方が良かったのかもしれません。」とも書いていました。どちらも個人の報告で、Owl3Dでは試していません。

自分で作る方法(自作)

自分で作るには、レンチキュラーシート、元になる画像、プリンターと、画像を帯状に並べ替えるソフトなどが必要です[14]。ASCII.jpの記事は、シートは「レンチキュラーレンズ 販売」で検索すると見つかるとしています[14]。

  1. シートを選びます。 工作やレタッチに慣れていない人や、子どもの研究工作なら、40LPIを選ぶとよいかもしれない、とASCII.jpの記事は書いています[14]。kame404 blogによると、lpiが大きいほど細かく表現できる一方、プリンターの精度が足りなかったり、貼り合わせが難しくなったりします[15]。
  2. 画像の解像度をレンズに合わせます。 解像度はlpiの倍数にします。ASCII.jpの筆者は60LPIのレンズを使い、1200DPIに設定しました[14]。
  3. 2枚の画像を帯に分けて組み合わせます。 手作業のほか、ソフトも使えます。kame404 blogの筆者は、ステレオフォトメーカーProで画像を作りました[15]。COKBEEのWebページでは、ステレオカメラで撮った左右2枚の写真から、60、62、75LPIのレンズ用の画像を作れます[16]。
  4. 等倍で印刷して、貼り合わせます。 印刷後にシートを重ね、ぴったりの位置を探してから貼ります[14]。
レンチキュラー印刷の表面を近くから見た写真。平行な細い畝が並んでいる。
レンチキュラー印刷の表面を近くから見たところです。畝の1本1本が細長いレンズです。写真:World Imaging、Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0

裸眼3Dディスプレイにも使われています

レンチキュラーレンズは、メガネなしで立体に見える裸眼3Dディスプレイにも使われています[1]。画面の前にレンズを重ね、左右の目に別々の画素の光を届けるしくみは、裸眼3Dとはで説明しています。

Owl3D Shiftも、レンチキュラーレンズを使った14インチの裸眼3Dディスプレイです。4Kパネルにレンチキュラーレンズの層を組み込み、アイトラッキングと組み合わせて、左目用と右目用の映像を目の位置に届けます[17]。3Dを見られるのは一度に1人です[17]。3Dで表示するには、Owl3Dアプリが動くパソコンが必要です[17]。

よくある質問

ニンテンドー3DSの画面もレンチキュラーですか?

いいえ。任天堂は、ニンテンドー3DSが「視差バリア」という方法を使っていると説明しています[18]。すきまの空いた薄い膜を液晶画面の前に貼り、左目と右目に違う映像を見せる方法です[18]。

レンチキュラー印刷は1枚から頼めますか?

はい、頼める会社があります。IDWORLDは、レンチキュラーカードなどを1個から作れるとしています(2026年10月28日確認)[20]。最小枚数は会社によって違い、Print-onのチェンジングシールは、料金表では10枚からです[4]。レンチキュラーシートを買って自作する方法もあります。

透明なレンチキュラーシートを重ねると、物が消えて見えるのはなぜですか?

レンズで光が屈折するためです。ねとらぼの記事によると、紹介された例では、中央に置いたペンのまわりは像が圧縮されて見えにくくなり、上下の模様がペンのあった場所を埋めるように見えます[19]。同じ記事は、これは100年以上前に発明された「レンチキュラーレンズ」だと紹介しています[19]。

出典 (20)

  1. Wikipedia、「レンチキュラー」、https://ja.wikipedia.org/wiki/レンチキュラー (2026年10月26日閲覧)
  2. マル・ビ、「レンチキュラーとは?印刷や3D効果の仕組み」、https://www.yosey.co.jp/service/lenti/lenti_mechanism/ (2026年10月26日閲覧)
  3. マル・ビ、「見方で変わる絵とは?「レンチキュラー印刷」について解説」、https://www.yosey.co.jp/service/lenti/appearance/ (2026年10月26日閲覧)
  4. Print-on、「グッズ チェンジングシール」、https://www.print-on.jp/doujin/comic/goods/changing_seal.htm (2026年10月26日閲覧)
  5. くりえい社、「スペシャル3Dポストカード」、https://www.kurieisha.co.jp/goods/3d_postcard/ (2026年10月26日閲覧)
  6. 加陽印刷、「入稿データ作成について|レンチキュラー印刷 3D+αの力」、https://kayo.co.jp/3dplus/data.html (2026年10月26日閲覧)
  7. Print-on、「グッズ チェンジングシール データ作成の注意点」、https://www.print-on.jp/doujin/comic/goods/changing_seal_date.htm (2026年10月26日閲覧)
  8. グラビティ、「ポストカード(レンチキュラー印刷) 価格表」、https://www.glavity.com/products/goods/postcard/lenticular/ (2026年10月26日閲覧)
  9. 清水産業、「レンチキュラー3Dデータの作成方法|入稿ガイド」、https://www.uv-shimizu.co.jp/3d/howto/ (2026年10月26日閲覧)
  10. 日本コーバン、「レンチキュラー制作の流れ」、https://coburn.jp/filmpaper/lenticular/lenticularflow/ (2026年10月26日閲覧)
  11. 日本コーバン、「レンチキュラーレンズ」、https://coburn.jp/filmpaper/lenticular/lenticularlens/ (2026年10月26日閲覧)
  12. 清水産業、「レンチキュラーレンズ制作(印刷)の流れ|ご依頼ガイド」、https://www.uv-shimizu.co.jp/3d/flow/ (2026年10月26日閲覧)
  13. 価格.comクチコミ掲示板、「3Dプリントの報告」(FinePix REAL 3D W3)、https://bbs.kakaku.com/bbs/K0000138949/SortID=12490969/ (2026年10月26日閲覧)
  14. ASCII.jp、「マジックみたい!? 絵が変わる「レンチキュラー」をDIYしてみる」(2020年5月19日)、https://ascii.jp/elem/000/004/012/4012262/ (2026年10月26日閲覧)
  15. kame404 blog、「レンチキュラーカードを自作してみる」(2024年8月6日)、https://kame404.com/posts/lenticular/ (2026年10月26日閲覧)
  16. COKBEE Education、「レンチキュラー3D画像作成」、https://www.cokbee.com/education/striper/ (2026年10月26日閲覧)
  17. Owl3D、「Owl3D Shift - 動画もゲームも3Dで楽しめるLive 3Dモニター」、https://www.owl3d.com/ja/shift (2026年10月26日閲覧)
  18. 任天堂、「ニンテンドー3DSの画面はどうして立体に見えるの!?」、https://www.nintendo.co.jp/kids/151216/about3d/index.html (2026年10月26日閲覧)
  19. ねとらぼ、「物体の“向こう側”が透けて見える不思議なカードが話題」、https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2302/17/news072.html (2026年10月26日閲覧)
  20. IDWORLD、「レンチキュラーシリーズ」、https://idworld.store/collections/レンチキュラーシリーズ (2026年10月28日閲覧)

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